2023
10月

環境コラム「ご存じですか?」

ご存知ですか?“デコ活”

文・山川文子

「デコ活」という言葉を聞いたことがありますか?
「デコ活」は、政府が主導する「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」の愛称です。脱炭素(Decarbonization・デカーボナイゼーション)とエコ(Eco)を含む「デコ」と、活動や生活を意味する「活」を組み合わせた造語で、8,200件の一般公募で集まった案を基に決定しました。

2050年カーボンニュートラルに向けて

前回コラムで取り上げたとおり、地球は「温暖化」から「沸騰化」の時代に入ったと言われる中、日本は、2030年度のCO2排出量を2013年度比46%削減すること、また、2050年までにカーボンニュートラルとすることを目標として掲げています。
これらの実現には、暮らしのあらゆる場面におけるCO2排出量の大幅な削減が不可欠ですが、機運の大きな高まりには至っていないのが実態です。

まずはここから

「デコ活」が「まずここからやろう」と提案する活動(デコ活アクション)は、「でこかつ」の各言葉と関連づけた以下の4つです。
「で」:電気も省エネ 断熱住宅(電気代を抑える断熱省エネ住宅に住む)
「こ」:こだわる楽しさ エコグッズ(LED・省エネ家電などを選ぶ)
「か」:感謝の心 食べ残しゼロ(食品の食べ切り、食材の使い切り)
「つ」:つながるオフィス テレワーク(どこでもつながれば、そこが仕事場に)
その他、「高効率給湯器、節水機器を選ぶ」「次世代自動車を選ぶ」「太陽光発電などの再生可能エネルギーを取り入れる」など、衣食住・買い物・移動といった暮らし全体における活動を包含しているのが特徴です。
このような個人の取り組みを後押しするだけではなく、企業や自治体に対しても推進(「デコ活宣言」)を呼びかけています。

みんなが知っている言葉に

活動を主導する環境省の西村明宏大臣(運動開始時)は、「デコ活」を「クールビズ」のようにみんなが知っている言葉にし、活動を発展させたいと語っています。
温暖化対策の一環として実施されたクールビズは、夏にスーツを着てネクタイを締めるオフィススタイルが窮屈だと感じられていたことや、これに代わるかっこいいカジュアルスタイルが提供されたことなどが、言葉の認知と活動の広がりにつながった要因だと考えます。

今夏は例を見ない猛暑で、野菜の価格高騰を招き、北海道では暑さを理由に臨時休校が相次ぎました。台風の日本列島への上陸・接近による交通機関の運休や、建物や道路の損害など、気候変動による影響を身近に感じた方も多いはずです。
このような状況は「デコ活」の動機づけとなることでしょう。クールビズがファッション業界と連携しながら効果的な発信をしたことが活動の拡大につながったように、「デコ活」もどう発信するかが成功の鍵になると感じます。私自身の「デコ活」を進めながら、大きな運動に発展することを期待しています。

「デコ活」の詳細: https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/

過去のコラム

2023
12月 最終回
11月 家電売り場に見る品揃えの変化
10月 ご存知ですか?“デコ活”
9月 地球沸騰化の時代に
8月 肉の消費がもたらす温暖化
7月 エアコンの自動制御で電力ひっ迫に貢献
6月 高効率給湯器への移行
5月 省エネデータの任意開示が始まる
4月 脱炭素社会の実現に向けて 省エネ法を大幅改正
3月 節電プログラムに参加してみました
2月 寒くない家が当たり前に
1月 気候変動の被害に特化した基金を創設 
2022
12月 自分ごととしての脱炭素化
11月 ラベルレスのペットボトル飲料
10月 東京都 新築住宅への太陽光発電設置を義務化
9月 ホテルのエコ進行中
8月 フードバンクを支援するには
7月 量り売りで食品ロスを削減
6月 簡易なツール利用を行動のきっかけに
5月 使い捨てプラスチック製品を減らす
4月 「食べ残したら持ち帰る」が当たり前に
3月 有機農業の普及
2月 バレンタインデーはフェアトレードチョコを
1月 電力・ガス会社の省エネ情報を採点
2021
12月 COP26が開催 ~「1.5℃目標」に向かって~
11月 ファッションをサステナブルに
10月 気候変動の最新報告書が公表される
9月 プラスチックを対象にした新しい法律
8月 カーボンニュートラルに向けた取り組み
7月 改正温対法
6月 SDGsをもっと身近に 169のターゲットの日本語コピー
5月 高校教科書 ~日常生活から学ぶ~
4月 ゼロカーボンシティ宣言
3月 検針票のペーパーレス化
2月 この冬 電力需給がひっ迫
1月 SDGsとわたし達の暮らし
2020
12月 温室効果ガス 新たな目標
11月 集合住宅の断熱化
10月 不便の益
9月 宅配便の再配達
8月 石炭火力発電所

山川文子プロフィール

山川文子さんの写真

エナジーコンシャス 代表

執筆や講演を通じて、生活者視点での省エネ、環境に配慮した暮らしの情報を発信。
テレビ、新聞等のメディアでも広く活躍。

東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)顧問
一般財団法人省エネルギーセンター 上級技術専任職(国際業務担当)

[資格]
・消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣認定)
・家電製品総合アドバイザー(一般財団法人家電製品協会認定)

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