2023
9月

環境コラム「ご存じですか?」

地球沸騰化の時代に

文・山川文子

長く暑い夏

2023年の夏は、到来が早く、かつ非常に暑い日が長く続いている、という印象です。わが家では、例年よりも早い6月下旬からエアコンを使い始め、夜中もつけっぱなしにするのが常態です。少しでも気温が低い朝のうちに外出し用事を済ませることや、高齢の親に頻繁に連絡し健康を確認するなど、これまでの夏の暮らしとは異なる配慮が必要になっています。

観測史上最も暑かった7月

気象庁は、2023年の7月の平均気温が、7月としては日本の観測史上最も高かったと発表しました。それまで最も気温が高かった1978年の記録を45年ぶりに更新したとのことです。猛暑日(最高気温が35℃以上の日)も各地で連日記録され、その数(地点数)は気象庁が集計を始めた2012年以降2番目の多さでした。
この傾向は、日本に限らず世界でも同様です。WMO(世界気象機関)は2023年7月の世界平均気温が観測史上最高になったと発表。さらに「1850年から1900年における平均気温よりも約1.5℃高いことが予測される」とも報告しています。
気候変動問題に対する国際的な枠組みである「パリ協定」では、「産業革命以前からの世界の平均気温の上昇を2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」ことを共通目標として掲げていますが、一時的ではあれ既に「1.5℃」に達してしまったことになります。

地球沸騰化の時代に

国連のグテレス事務総長は7月27日の記者会見で「地球温暖化の時代は終わった。地球沸騰化の時代が到来した」と危機感を表しました。
「人類が破壊的な気候変動を引き起こしたという証拠はいたるところにあります。このことは絶望を引き起こすのではなく、行動を引き起こすものでなければなりません。最悪の事態を防ぐことはまだ可能です。しかし、そのためには、灼熱の年から野心が燃える年に変える必要があります。そして気候変動対策を今すぐ加速させましょう。」*と訴えています。
社会の大転換が求められていることは明らかです。

*「オルタナ」より引用(https://www.alterna.co.jp/91171/)

過去のコラム

2023
12月 最終回
11月 家電売り場に見る品揃えの変化
10月 ご存知ですか?“デコ活”
9月 地球沸騰化の時代に
8月 肉の消費がもたらす温暖化
7月 エアコンの自動制御で電力ひっ迫に貢献
6月 高効率給湯器への移行
5月 省エネデータの任意開示が始まる
4月 脱炭素社会の実現に向けて 省エネ法を大幅改正
3月 節電プログラムに参加してみました
2月 寒くない家が当たり前に
1月 気候変動の被害に特化した基金を創設 
2022
12月 自分ごととしての脱炭素化
11月 ラベルレスのペットボトル飲料
10月 東京都 新築住宅への太陽光発電設置を義務化
9月 ホテルのエコ進行中
8月 フードバンクを支援するには
7月 量り売りで食品ロスを削減
6月 簡易なツール利用を行動のきっかけに
5月 使い捨てプラスチック製品を減らす
4月 「食べ残したら持ち帰る」が当たり前に
3月 有機農業の普及
2月 バレンタインデーはフェアトレードチョコを
1月 電力・ガス会社の省エネ情報を採点
2021
12月 COP26が開催 ~「1.5℃目標」に向かって~
11月 ファッションをサステナブルに
10月 気候変動の最新報告書が公表される
9月 プラスチックを対象にした新しい法律
8月 カーボンニュートラルに向けた取り組み
7月 改正温対法
6月 SDGsをもっと身近に 169のターゲットの日本語コピー
5月 高校教科書 ~日常生活から学ぶ~
4月 ゼロカーボンシティ宣言
3月 検針票のペーパーレス化
2月 この冬 電力需給がひっ迫
1月 SDGsとわたし達の暮らし
2020
12月 温室効果ガス 新たな目標
11月 集合住宅の断熱化
10月 不便の益
9月 宅配便の再配達
8月 石炭火力発電所

山川文子プロフィール

山川文子さんの写真

エナジーコンシャス 代表

執筆や講演を通じて、生活者視点での省エネ、環境に配慮した暮らしの情報を発信。
テレビ、新聞等のメディアでも広く活躍。

東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)顧問
一般財団法人省エネルギーセンター 上級技術専任職(国際業務担当)

[資格]
・消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣認定)
・家電製品総合アドバイザー(一般財団法人家電製品協会認定)

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