2021
8月

環境コラム「ご存じですか?」

カーボンニュートラルに向けた取り組み

文・山川文子

求められるサプライチェーン全体でのCO2削減

脱炭素社会の実現に向けた企業の取組みが本格化する中、先進的な企業を中心に、製品のサプライチェーン(供給網)全体でのカーボンニュートラルに向け、取引先に対してもCO2排出削減を求める傾向が高まっています。

トヨタ自動車の場合

2021年6月にトヨタ自動車は、2035年までに世界の自社工場のCO2排出量を実質ゼロにする方針を示しました。2050年だった従来の達成時期を大幅に早めたものです。さらに、主要1次取引先に対し、2021年のCO2排出量の削減目標として「前年比3%の削減」を要請。これは、2020年の目標(2%削減)よりも1%厳しい値です。
自動車の原材料や部品の調達から、製造、輸送、廃棄・リサイクルを含めたサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを達成するための対策の一つです。
トヨタ自動車のように、取引先に対して定量的なCO2排出削減の目標設定はしていなくても、各取引先の排出量を把握し、削減の協力を求める企業は増えています。

アップルの場合

世界の動きの一例を挙げます。アップルは、自社の企業活動におけるカーボンニュートラルを既に実現する中で、2030年までにサプライチェーン全体でも達成すること、そのために、世界中の製造パートナー110社以上がアップル製品の製造に用いる電力すべてを再生可能エネルギーに変えていくことを発表しました。これにより、年間1500万トンのCO2排出量の削減につながるとのことです。

中小企業もCO2排出削減が必須に

トヨタ自動車やアップルの例からもわかるとおり、今後は中小企業にまでカーボンニュートラルに向けた取組みが必要とされていくことは明らかです。
CO2排出削減は、光熱費の削減はもちろんのこと、生産性の向上や、排出削減活動を通じた社内コミュニケーションの活性化など、副次的な効果も多くあります。積極的な活動がメディアで取り上げられたのを機に、知名度が上がり、新規取引につながった企業もあります。
取引先からの要請を規制として捉えるのではなく、それを前向きに捉えて、積極的な姿勢で取り組むことが成功の鍵と感じます。

山川文子プロフィール

山川文子さんの写真

エナジーコンシャス 代表

執筆や講演を通じて、生活者視点での省エネ、環境に配慮した暮らしの情報を発信。
テレビ、新聞等のメディアでも広く活躍。

東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)顧問
一般財団法人省エネルギーセンター 上級技術専任職(国際業務担当)

[資格]
・消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣認定)
・家電製品総合アドバイザー(一般財団法人家電製品協会認定)

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