2022
5月

環境コラム「ご存じですか?」

使い捨てプラスチック製品を減らす

文・山川文子

多いプラスチック廃棄物

4月からシェアオフィスで仕事をしています。以前ホテルのラウンジだったその場所は、天井が高く広々しており、思いのほか仕事がはかどります。コーヒーサーバーを無料で使えるのもありがたいですが、紙のカップとプラスチックの蓋を毎回使うことが気になり、マイカップを持参するようになりました。

使い捨てのプラスチック製品は、飲み物の蓋の他にも、コンビニで総菜やスイーツを買った時についてくるスプーンやフォーク、旅館に泊まった時に部屋に備えられている歯ブラシなど、私たちの身の回りに溢れています。
このような使い捨て製品も含め、日本のプラスチック廃棄物の量は年間940万トンもあり、このうちリサイクルされるのは約25%*と多くありません。

プラスチック資源循環促進法が施行

海洋汚染問題の解決やカーボンニュートラル社会を目指す上で、プラスチックの資源循環を進め、循環型社会に移行することが必須です。
その一環として、「プラスチック資源循環促進法」(正式名称:プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律)が2022年4月1日に施行されました。
法律には、3R(Reduce, Reuse, Recycle)+Renewableの各取組みを進めるための措置が盛り込まれています。「Renewable」は、再生素材や紙・バイオマスプラスチックなどの再生可能資源に切り替えることを指しています。

法律では、Reduce(減らす)の促進のために、以下の使い捨てのプラスチック製品12品目について、年間5トン以上提供している事業者に対し、削減に向けた取組みを義務づけています。
[対象品目]
フォーク、スプーン、テーブルナイフ、マドラー、飲料用ストロー、ヘアブラシ、くし、かみそり、シャワーキャップ、歯ブラシ、衣類用ハンガー、衣類用カバー

有料化以外の取組みも

削減に向けた取組みは、有料化だけではなく、提供しない場合のポイント付与や軽量化、再生プラスチックを使用することなども含まれます。

これを受け、たとえばコンビニでは、持ち手に穴を開け、長さも短くしたスプーンやフォークを使用するなどの対応がされています。歯ブラシやくしなどのアメニティを部屋に備えず、ロビーにまとめて置き、必要な人が持って行く方法を導入したホテルもあります。

事業者は有料化には慎重なようです。消費者にサービスの低下と捉えられることを懸念していると思われます。
個人的には、事前の十分な告知が必要ですが、段階的に有料化を進めてもよいのではないかと考えます。レジ袋の場合でわかるとおり、有料化による削減効果は大きいと思われます。

*2013年のデータ。熱回収分を含めると81.6%
「プラスチックを取り巻く国内外の状況<参考資料集>」(令和3年11月22日)

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山川文子プロフィール

山川文子さんの写真

エナジーコンシャス 代表

執筆や講演を通じて、生活者視点での省エネ、環境に配慮した暮らしの情報を発信。
テレビ、新聞等のメディアでも広く活躍。

東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)顧問
一般財団法人省エネルギーセンター 上級技術専任職(国際業務担当)

[資格]
・消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣認定)
・家電製品総合アドバイザー(一般財団法人家電製品協会認定)

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