2022
1月

環境コラム「ご存じですか?」

電力・ガス会社の省エネ情報を採点

文・山川文子

 ~「省エネコミュニケーション・ランキング制度」がスタート~

仕事柄、複数の電力やガス会社のウェブサイトを閲覧することがあります。
エネルギーの小売全面自由化以降、料金メニューが多様化するとともに、ポイント付与や付帯サービスの提供など、各社が工夫を凝らしている様子がうかがえます。

ランキング制度が始まる

中には、ウェブサイト上で毎月の使用量をグラフで示し、前年同月との比較や、機器の上手な使い方を案内している会社もあります。
このような省エネにつながる消費者向けの情報提供やサービスの充実度を調査し、取組み状況を評価・公表する制度「省エネコミュニケーション・ランキング制度」(経済産業省)が始まりました(2021年度は試行運用)。

6段階でランキング

この制度では、①毎月の消費量の前年同月値、②過去1年間の月別使用量・料金、③類似世帯との比較、④機器の使い方による省エネ量・光熱費の削減金額、⑤省エネ機器の性能・助成制度に関する情報、⑥時間帯ごと等のきめ細やかな消費量の見える化、⑦電源構成の開示、等について採点し、6段階(5つ★から1つ★、★なし)で評価しています。

1つ★事業者が最多

2021年度の結果は以下のURLで見ることができます。
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/overview/ranking/index.html
電力、都市ガス会社とも、「1つ★」の事業者が最も多く、最高評価である「5つ★」を得たのは、電力会社が88社中11社、都市ガス会社は70社中2社でした。
事業者名は、掲載を承諾した場合のみ掲載されていることもあり、評価が高い事業者しかわかりませんが、自身が契約している事業者が「5つ★」か「4つ★」か、それ以外かは確認できます。

事業者は、このようなランキング制度の存在を意識せざるを得ず、高い評価を得るためにより充実した情報がわかりやすく提供されるようになることが期待できます。
消費者にとっても、事業者を選択する上での参考になることでしょう。そのためには、この結果がもっと広く周知される必要性を感じます。

過去のコラム

2023
12月 最終回
11月 家電売り場に見る品揃えの変化
10月 ご存知ですか?“デコ活”
9月 地球沸騰化の時代に
8月 肉の消費がもたらす温暖化
7月 エアコンの自動制御で電力ひっ迫に貢献
6月 高効率給湯器への移行
5月 省エネデータの任意開示が始まる
4月 脱炭素社会の実現に向けて 省エネ法を大幅改正
3月 節電プログラムに参加してみました
2月 寒くない家が当たり前に
1月 気候変動の被害に特化した基金を創設 
2022
12月 自分ごととしての脱炭素化
11月 ラベルレスのペットボトル飲料
10月 東京都 新築住宅への太陽光発電設置を義務化
9月 ホテルのエコ進行中
8月 フードバンクを支援するには
7月 量り売りで食品ロスを削減
6月 簡易なツール利用を行動のきっかけに
5月 使い捨てプラスチック製品を減らす
4月 「食べ残したら持ち帰る」が当たり前に
3月 有機農業の普及
2月 バレンタインデーはフェアトレードチョコを
1月 電力・ガス会社の省エネ情報を採点
2021
12月 COP26が開催 ~「1.5℃目標」に向かって~
11月 ファッションをサステナブルに
10月 気候変動の最新報告書が公表される
9月 プラスチックを対象にした新しい法律
8月 カーボンニュートラルに向けた取り組み
7月 改正温対法
6月 SDGsをもっと身近に 169のターゲットの日本語コピー
5月 高校教科書 ~日常生活から学ぶ~
4月 ゼロカーボンシティ宣言
3月 検針票のペーパーレス化
2月 この冬 電力需給がひっ迫
1月 SDGsとわたし達の暮らし
2020
12月 温室効果ガス 新たな目標
11月 集合住宅の断熱化
10月 不便の益
9月 宅配便の再配達
8月 石炭火力発電所

山川文子プロフィール

山川文子さんの写真

エナジーコンシャス 代表

執筆や講演を通じて、生活者視点での省エネ、環境に配慮した暮らしの情報を発信。
テレビ、新聞等のメディアでも広く活躍。

東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)顧問
一般財団法人省エネルギーセンター 上級技術専任職(国際業務担当)

[資格]
・消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣認定)
・家電製品総合アドバイザー(一般財団法人家電製品協会認定)

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