環境コラム「ご存じですか?」
高効率給湯器への移行
電気代が25,000円に
先日、一人暮らしの知人から「月の電気代が25,000円にもなった」と聞きました。その住宅は賃貸で、平日の日中はほぼ不在ということですから、この電気代は昨今の高騰を考慮したとしても高く感じます。その理由として思い当たったのが、給湯にヒーター式の電気温水器を使っていることでした。
3割以上を占める給湯用エネルギー
給湯器には、必要な量のお湯をガスや灯油を燃焼してその都度沸かす「瞬間式」や、あらかじめお湯を作り貯めておく「貯湯式」があります。
貯湯式の給湯器には、大気の熱を利用してお湯を作る高効率の給湯器(エコキュート)がありますが、知人宅と同様に、築年数の古い住宅を中心に未だにヒーター式の電気温水器が使われていることがあります。
給湯用のエネルギーは、家庭で使用するエネルギーの3割以上を占めており、省エネ・脱炭素社会を目指す上で、給湯分野の対策は欠かせません。湯音や湯量を控えるといった暮らしの中での配慮以外に、高効率の給湯器への買い替えが必要とされています。
設置できない住宅も
買い替えを促すために、国や自治体では高効率給湯器の購入時に補助金を出すといった経済面での支援や、ラベリングによる情報提供等を行っています。しかし、給湯器固有の問題もあり買い替えは期待以上には進んでいません。
エコキュートの設置には、貯湯槽を設置できるだけのスペースが必要です。また、床の荷重条件もあります。これらがネックとなり既存の集合住宅では設置できないケースがあります。
瞬間式の給湯器にも高効率タイプ(エコジョーズ等)がありますが、発生するドレン水という少量の排水を処理する際の問題で設置できないケースがあります。
さらに賃貸住宅の場合は、高効率給湯器を設置したことで光熱費が下がるというメリットを得られるのは居住者であることから、設置費用を負担するオーナーのインセンティブが働きにくい、という側面もあります。
戸建て・集合住宅、持ち家・賃貸住宅といった住宅の形態に合わせて、高効率給湯器への移行を促すための対策が求められています。
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山川文子プロフィール
エナジーコンシャス 代表
執筆や講演を通じて、生活者視点での省エネ、環境に配慮した暮らしの情報を発信。
テレビ、新聞等のメディアでも広く活躍。
東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)顧問
一般財団法人省エネルギーセンター 上級技術専任職(国際業務担当)
[資格]
・消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣認定)
・家電製品総合アドバイザー(一般財団法人家電製品協会認定)