環境コラム「ご存じですか?」
ホテルのエコ進行中
シーツの交換なし
旅先で泊まるホテルをインターネットで検索していたところ、連泊時に部屋の掃除やシーツの交換をしない料金プランがあるホテルがありました。タオルは宿泊者がフロントに持って行けば無料で交換されます。料金は掃除やシーツ交換をするプランよりも安くなっています。
ホテルは、シーツやタオルの洗濯や乾燥にかかるエネルギーや水量が多いことから、交換する頻度が減ればそれだけ省エネ・節水に繋がります。浴室や洗面所、トイレの掃除にも水を使用しますし、掃除機の使用には電力を使います。
「エコプラン」と名付けるだけではなく、料金も下げることによって、このプランを選択する人が増えることと思います。
初期設定に従う傾向
ホテルでの宿泊では、10年程前まではシーツの交換が不要な場合、宿泊者が「交換不要」のカードをベッドに置く方法が主流だったと記憶しています。その後、交換を希望する場合にのみ「交換希望」のカードを置く方式とするホテルが出てきました。後者の方が、前者よりも交換を希望する人が少なくなると思われます。行動経済学でも「人は初期設定に従う傾向がある」ことが証明されています。タオルも同様です。交換して欲しい場合はバスタブに入れておくなどの方法にしておけば、交換の頻度は下がると思われます。
アメニティ類の削減も
環境負荷の低減のためには、使い捨てのアメニティ類の使用も削減する必要があります。
2022年4月1日に施行された「プラスチック資源循環促進法」では、宿泊業において、歯ブラシ、カミソリ、クシ、ヘアブラシ、シャワーキャップの5品目について、有料化、提供を断った場合のポイント還元、必要の有無の確認、代替素材の製品への切り替えなどの方法によって、プラスチック製品の廃棄物を削減することが求められています。
これを受け、アメニティ類を部屋に備えずにホテルのロビーに置き必要な人が持って行くスタイルや、フロントで受け取るスタイルとする、バイオマス素材配合製品に切り替えるなど、各ホテルが対応しています。
ところで、皆さんはホテルに泊まった際に空のペットボトルをごみ箱の中に入れますか?
入れた場合、ホテル側は回収後に他のごみと分別をしているはずで、その手間は小さくないと思います。私はごみ箱の横に置くことにしていますが、ホテル側が何かルールを定めても構わないと感じます。宿泊者の環境意識は以前より高まっており、日常的にごみの分別をしているため、違和感を覚えないはずです。
過去のコラム
2023 | |
12月 | 最終回 |
11月 | 家電売り場に見る品揃えの変化 |
10月 | ご存知ですか?“デコ活” |
9月 | 地球沸騰化の時代に |
8月 | 肉の消費がもたらす温暖化 |
7月 | エアコンの自動制御で電力ひっ迫に貢献 |
6月 | 高効率給湯器への移行 |
5月 | 省エネデータの任意開示が始まる |
4月 | 脱炭素社会の実現に向けて 省エネ法を大幅改正 |
3月 | 節電プログラムに参加してみました |
2月 | 寒くない家が当たり前に |
1月 | 気候変動の被害に特化した基金を創設 |
2022 | |
12月 | 自分ごととしての脱炭素化 |
11月 | ラベルレスのペットボトル飲料 |
10月 | 東京都 新築住宅への太陽光発電設置を義務化 |
9月 | ホテルのエコ進行中 |
8月 | フードバンクを支援するには |
7月 | 量り売りで食品ロスを削減 |
6月 | 簡易なツール利用を行動のきっかけに |
5月 | 使い捨てプラスチック製品を減らす |
4月 | 「食べ残したら持ち帰る」が当たり前に |
3月 | 有機農業の普及 |
2月 | バレンタインデーはフェアトレードチョコを |
1月 | 電力・ガス会社の省エネ情報を採点 |
2021 | |
12月 | COP26が開催 ~「1.5℃目標」に向かって~ |
11月 | ファッションをサステナブルに |
10月 | 気候変動の最新報告書が公表される |
9月 | プラスチックを対象にした新しい法律 |
8月 | カーボンニュートラルに向けた取り組み |
7月 | 改正温対法 |
6月 | SDGsをもっと身近に 169のターゲットの日本語コピー |
5月 | 高校教科書 ~日常生活から学ぶ~ |
4月 | ゼロカーボンシティ宣言 |
3月 | 検針票のペーパーレス化 |
2月 | この冬 電力需給がひっ迫 |
1月 | SDGsとわたし達の暮らし |
2020 | |
12月 | 温室効果ガス 新たな目標 |
11月 | 集合住宅の断熱化 |
10月 | 不便の益 |
9月 | 宅配便の再配達 |
8月 | 石炭火力発電所 |
山川文子プロフィール
エナジーコンシャス 代表
執筆や講演を通じて、生活者視点での省エネ、環境に配慮した暮らしの情報を発信。
テレビ、新聞等のメディアでも広く活躍。
東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)顧問
一般財団法人省エネルギーセンター 上級技術専任職(国際業務担当)
[資格]
・消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣認定)
・家電製品総合アドバイザー(一般財団法人家電製品協会認定)