環境コラム「ご存じですか?」
簡易なツール利用を行動のきっかけに
各家庭、各企業で省エネやCO2排出量の削減が必要とされています。その行動の基本となるのは「現状認識」と「比較」です。「現状認識」は、今どのぐらいエネルギーを消費しているか、CO2を排出しているかを知ること、「比較」は、その量が他と比べて多いのか少ないかを知ることです。これが簡単にわかるツールを紹介します。
入力は7項目
「うちエコ診断 自己診断用」(全国地球温暖化防止活動推進センター)は、家庭でのCO2排出量を算出し、他の家庭と比較ができるツールです。
https://webapp.uchieco-shindan.jp/
「5分でわかります」と書かれているとおり、必要な情報は以下の7つだけです。
①光熱費を入力する月(5月など)、その月の②電気代、③ガス代、④灯油代、⑤ガソリン代、⑥居住する都道府県、⑦世帯人数
これで自宅の年間CO2排出量がわかり、同じ都道府県・世帯人数の家庭における平均排出量との比較ができます。光熱費での比較や自動車の排出量を含まない比較も示されます。
わが家の場合は、年間2,400kgの排出量、同じ都道府県・世帯人数100世帯中少ない方から27位の排出量という結果でした。
同業他社と比べる
工場やビル向けのツールには、「省エネ・節電ポータルサイト」(省エネルギーセンター)の「セルフ診断ツール」があります。
https://www.shindan-net.jp/selfcheck/
業種、年間の電力、ガス、重油の使用量、延床面積(ビル)、年間出荷額(工場)などを入力すると、年間エネルギー使用量(原油換算)やCO2排出量が算出されます。CO2排出量はScope1、Scope2*1別にも示されます。さらに、過去の省エネ診断の実績データに基づいた、エネルギー使用量の同業他社との比較ができます*2。
もっと知りたい人向けに
「うちエコ診断 自己診断用」では、もう少し詳細な情報を入力することでお勧めの対策提案がなされるほか、うちエコ診断士による対面での診断サービスも用意されています。同様に「セルフ診断ツール」では、省エネ対策の提案*2に加えて、専門家による詳細な診断サービスが利用できます。
精緻な結果を出すためには、詳細な入力項目が必要になり、それがツールを利用する上での障害になっている可能性があります。
このような簡易なツールであれば、より多くの人が容易にわが家・わが社の立ち位置を知ることができ、意識変化や行動のきっかけになることでしょう。
*1:Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出、Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
*2:エネルギー管理体制等の設問への回答が必要。過去の省エネ診断において、同等レベルのエネルギー使用量の事業所に提案した対策
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山川文子プロフィール
エナジーコンシャス 代表
執筆や講演を通じて、生活者視点での省エネ、環境に配慮した暮らしの情報を発信。
テレビ、新聞等のメディアでも広く活躍。
東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)顧問
一般財団法人省エネルギーセンター 上級技術専任職(国際業務担当)
[資格]
・消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣認定)
・家電製品総合アドバイザー(一般財団法人家電製品協会認定)