環境コラム「ご存じですか?」
ファッションをサステナブルに
30回着るかどうかを考える
買ったのに着ていない服
衣替えはもうお済みでしょうか? シーズン中に一度も袖を通さなかった夏服があったのではないでしょうか。
環境省の調査によると、1年間に一度も着ない服は一人平均25枚あるとのこと。また、1年間に12枚の服を手放す一方で、18枚の服を購入するという結果もあります。「たくさん買って、たくさん捨てる」ことがデータとして表れています。
サステナブルファッション
この環境省の調査は、サステナブルファッション(持続可能なファッション)を広める上での、実態把握のために行われたものです。
洋服はライフサイクルが短く、また、製造時のエネルギー使用量が多いことから、ファッション業界は環境への負担が大きい業界であると指摘されています。
綿や羊毛などの原材料調達から製造(紡績、染色、裁断、縫製、輸送)までの工程で排出されるCO2は、洋服1着当たり約25.5kg。これは一人当たりのCO2排出量の5日分*とほぼ同じ量です。また、水の使用量は2,300L/着と、浴槽11杯分にも相当しています。原料の栽培や染色の際に大量の水が使われているからです。
30回着るか?
サステナブルファッションを実現するためにわたしたちに出来ることは、「長く着る」「不要になったものは売る・譲る」「資源として廃棄する」などがあります。この中の「長く着る」ために、買い物の基準として取り入れたいのが“30 Wears”という考え方です。
ヨーロッパのブランドコンサルタント会社Eco-Ageの創始者であるリヴィア・ファース(Livia Firth)氏が提唱する“30 Wears”は、服を買うときに「少なくても30回着るかどうか?」を考え、「YESなら購入しましょう」というものです。
たとえば、1シーズンに5回着ると想定した場合、30回着るには6年かかります。「6年間この服を着続けるかどうか? を考えてみよう」ということです。
「このデザインは来年はもう流行っていないはずだ。今シーズン中に30回も着るか?」「このようなよそ行きの服は30回も着る機会がない。レンタルにしよう」・・・。わかりやすく具体的な基準だと感じます。
今度服を買おうとするときに、“30 Wears”を思い出してください。
*2019年度のCO2排出量(1,859kg/人)より計算
その他のデータの出所:環境省SUSTAINABLE FAHIONウェブページ
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山川文子プロフィール
エナジーコンシャス 代表
執筆や講演を通じて、生活者視点での省エネ、環境に配慮した暮らしの情報を発信。
テレビ、新聞等のメディアでも広く活躍。
東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)顧問
一般財団法人省エネルギーセンター 上級技術専任職(国際業務担当)
[資格]
・消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣認定)
・家電製品総合アドバイザー(一般財団法人家電製品協会認定)