環境コラム「ご存じですか?」
気候変動の最新報告書が公表される
IPCC第6次評価報告書 自然科学的根拠編
8月9日に、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次評価報告書「自然科学的根拠」編が公表されました。
IPCCでは、世界中の科学者が参加し、気候変動に関する科学研究から得られた最新の知見を評価し、報告書として公表しています。今回は、報告書の一部を紹介します。
疑う余地がない
気候の現状をまとめた章では「人間の影響が温暖化させてきたことには疑う余地がない」と記されました。2013年に公表された第5次評価報告書では、「人間の影響が温暖化の支配的な要因であった可能性が極めて高い」と表現されています。今回は「可能性」という表現ではなく、言い切っている点が前回と大きく異なります。
「世界中のすべての地域で、熱波や豪雨等の極端現象が起きている」との報告もされています。日本でも、夏の高温、大型の台風、短時間豪雨など、以前は見られなかった気象を経験していることから、この報告は実感を伴って理解できると思います。
カーボンニュートラルが必須
報告書では、CO2の排出量が「非常に多い」から「非常に少ない」までの5つのケースを想定し、今後の影響をシミュレーションしています。その結果、この5つすべてのケースにおいて、「少なくとも今世紀半ばまでは気温は上昇を続け、数十年の間にCO2やその他の温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、21 世紀中に1.5℃及び 2℃を超える」と予測しています。
さらに、「地球温暖化を特定のレベルに制限するには、少なくとも CO2 正味ゼロ排出を達成する必要がある」ことにも触れています。「CO2正味ゼロ排出」、すなわち「カーボンニュートラル」が必須だということがわかります。
日本でも、「2050年までにカーボンニュートラルを目指す」と政府が宣言し、政府・企業とも対応が加速しています。
消費者も行動変革が求められています。まずは、最近の異常気象が、暮らしの中での自身の行動が影響していることを認識し、身の回りでできるCO2排出量を少なくする行動を地道に行う必要があります。
紹介した「自然科学的根拠」編に続いて、2022年2月には、「影響・適応・脆弱性」編が、3月には「気候変動の緩和」編が、そして9月には3編をまとめた「統合報告書」が公表される予定です。
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山川文子プロフィール
エナジーコンシャス 代表
執筆や講演を通じて、生活者視点での省エネ、環境に配慮した暮らしの情報を発信。
テレビ、新聞等のメディアでも広く活躍。
東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)顧問
一般財団法人省エネルギーセンター 上級技術専任職(国際業務担当)
[資格]
・消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣認定)
・家電製品総合アドバイザー(一般財団法人家電製品協会認定)