環境コラム「ご存じですか?」
SDGsをもっと身近に 169のターゲットの日本語コピー
言葉の認知率は倍増
2021年1月に行われた調査*によると、「SDGs」の言葉の認知率は54.2%で、1年前の調査時(29.1%)からほぼ倍増しました。TVや新聞などのメディアでも、以前よりSDGsが取り上げられることが増えたと感じます。ただし、この認知率(54.2%)の内訳は、「内容まで含めて知っている」(20.5%)、「内容はわからないが名前は聞いたことがある」(33.8%)の合計です。多くの人がSDGsについて理解をするには、まだ時間がかかりそうです。
「ターゲット」の日本語訳
SDGsには、2030年までに世界が達成すべき17の「目標」と、これらの目標をより具体的にした、169の「ターゲット」があります。
このうち17の目標については、「貧困をなくそう」「気候変動に具体的な対策を」のような、平易な日本語のコピーが入ったアイコンがある一方、169のターゲットは、原文の英語が忠実に翻訳されたものしかありませんでした。
たとえば、目標1(貧困をなくそう)のターゲットの一つは「2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、全ての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させる。」と記されています。
残念ながら、直感的に理解できるとは言い難い表現になっているようです。そのせいか、メディアで、このターゲットについて具体的に取り上げたのを目にしたことはありません。また、「ターゲットの表現は難解で、社内で活用しづらい」という企業のSDGs担当者の声を聞いたこともあります。
日本語コピーが発表される
この169のターゲットの「日本語コピー」が、2021年4月に「SDGs169ターゲットアイコン日本版制作プロジェクト」から発表されました。学生や教育団体等から募集をしたコピーを基に作成されたものです。
コピーは、どれも平易な言葉を使い短い文章で表現されています。たとえば、前記の「貧困をなくそう」に関するターゲットは、「どこの、どんな貧困も、半分に減らそう」となっています。
わかりやすい「ターゲット」でSDGsの理解を深める
気候変動に関するターゲットも、以下のようにわかりやすくなりました。
目標13(気候変動に具体的な対策を)のターゲット
・自然災害に対する対応力と回復力を高めよう
・気候変動に対する、正しい知識と対応能力をみんなに 等
目標12(つくる責任、つかう責任)のターゲット
・限りある天然資源を、できるだけ使わずに済むようにしよう
・一人あたりの食品廃棄を半分に減らそう 等
この日本語コピーであれば、企業や学校でも活用しやすく、ターゲットがメディアで取り上げられる機会も増え、SDGsの内容への理解も進むと期待しています。
*第4回「SDGsに関する生活者調査」(株式会社電通)全国1400人に調査
※「SDGs169ターゲットアイコン日本版」:https://www.asahi.com/ads/sdgs169/result/
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山川文子プロフィール
エナジーコンシャス 代表
執筆や講演を通じて、生活者視点での省エネ、環境に配慮した暮らしの情報を発信。
テレビ、新聞等のメディアでも広く活躍。
東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)顧問
一般財団法人省エネルギーセンター 上級技術専任職(国際業務担当)
[資格]
・消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣認定)
・家電製品総合アドバイザー(一般財団法人家電製品協会認定)