環境コラム「ご存じですか?」
ゼロカーボンシティ宣言
325の自治体が宣言
「ゼロカーボンシティ」という言葉を聞いたことがありますか?
ゼロカーボンシティとは「2050年までにCO2排出実質ゼロ」を宣言した地方自治体のことを言います。
2021年3月17日時点で、325の自治体(34都道府県、191市、3特別区、78町、19村)が宣言しました。これら自治体の人口の合計は約1億365万人と、日本の人口の8割以上に相当することからも、宣言した自治体の多さがわかります。
2019年9月の時点では、この宣言をした自治体は、東京都、山梨県、横浜市、京都市のみでしたが、2020年10月に政府が「2050年までに脱炭素社会を目指す」という方針を掲げたため、その後、宣言する自治体が急増しました。
横浜市の取組
他の自治体に先駆けてゼロカーボンシティ宣言をした横浜市は、1)最大限の省エネ、2)電力の再エネ転換、3)電力以外の脱炭素化、の3つの柱を立て、2050年の市の姿を次のように描いています。
1)最大限の省エネ:2013年度比でエネルギー消費量を約50%削減
2)電力の再エネ転換:2050年の消費電力をすべて再生可能エネルギーに転換する場合、市内の再エネの供給余地は8%。残りを市外から調達する必要あり
3)電力以外の脱炭素化:水素やバイオマス燃料などの実用化・普及
これらの実現を見据え、2030年の到達指標と施策をまとめています。
「宣言」の意義
この「宣言」は、自治体のトップが記者会見やプレスリリースなどで、また、自治体のウェブサイトで表明するもので、その自治体の「意思表明」にほかなりません。
横浜市のように、2050年の姿を描き、具体的な施策を立案している自治体はまだ少なく、多くはこれから行われるようです。
とは言うものの、脱炭素社会をつくるために自治体のリーダーシップは不可欠であり、多くの自治体が「宣言」をした意義はあると考えます。
まずは、お住まいの自治体(都道府県および市区町村)が宣言しているかどうかを、以下の環境省のサイトでチェックしてみてはいかがでしょうか。宣言している場合、その自治体のウェブサイトを見て、施策の内容を確認してみましょう。その後は、進捗状況を注視し続けていくことが、ゼロカーボンシティ実現に向けて住民としてできることの一つです。
*ゼロカーボンシティ一覧図 https://www.env.go.jp/policy/zerocarbon.html
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山川文子プロフィール
エナジーコンシャス 代表
執筆や講演を通じて、生活者視点での省エネ、環境に配慮した暮らしの情報を発信。
テレビ、新聞等のメディアでも広く活躍。
東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)顧問
一般財団法人省エネルギーセンター 上級技術専任職(国際業務担当)
[資格]
・消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣認定)
・家電製品総合アドバイザー(一般財団法人家電製品協会認定)