環境コラム「ご存じですか?」
宅配便の再配達
宅配便の再配達が減る
再配達率は約半分に
新型コロナウイルスの流行に伴い、通信販売の利用が増加していることは、宅配便の取扱個数にも現れています。ヤマト運輸の2020年4月から7月までの各月の対前年実績は、それぞれ13.2%、19.5%、18.7%、8.0%の増加です。
一方、国土交通省の調査によると、宅配便の再配達率は8.5%(2020年4月)と、前年同月(16.0%)の約半分に減少しました。調査を開始した2017年以降、最も低い割合です。
減少の要因は、容易に想像できるとおり、外出自粛により利用者の在宅時間が増加したことです。また、コンビニ受け取りや「置き配」などの受け取り方法が多様化したことも影響しています。
全体で見るとどうか?
国土交通省は、宅配便の再配達は約42万トンのCO2排出量の増加につながると試算しています(2015年調査時の再配達率約2割に基づく)*。この量は約84,000世帯分の年間排出量に相当します(5トン/世帯として計算)。
コロナ禍で再配達が減り、これに伴うCO2排出量が減少するのは喜ばしいことですが、前記のとおり取扱個数は増加しています。宅配便全体のトラックの総走行距離のデータは不明のため、全体としての評価は現時点ではできません。
さらに運輸全体に視点を広げてみると、通信販売の利用により、自家用車での買い物は減っている可能性があります。一方で、感染防止のために電車ではなく自家用車で通勤や買い物に行く人もいるでしょう。
同様のことは、テレワーク増加の影響にも当てはまります。オフィスの省エネが進んだ一方で、社員の家庭のエネルギー消費は増加したことでしょう。
コロナ禍のエネルギー消費量やCO2排出量のデータが、今後発表されることと思います。トラックや自家用車、家庭やオフィスといった分野ごとではなく、全体で影響を評価する必要があります。
*出所:「宅配の再配達の削減に向けた受取方法の多様化の促進等に関する検討会報告書」
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山川文子プロフィール
エナジーコンシャス 代表
執筆や講演を通じて、生活者視点での省エネ、環境に配慮した暮らしの情報を発信。
テレビ、新聞等のメディアでも広く活躍。
東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)顧問
一般財団法人省エネルギーセンター 上級技術専任職(国際業務担当)
[資格]
・消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣認定)
・家電製品総合アドバイザー(一般財団法人家電製品協会認定)