2020
11月

環境コラム「ご存じですか?」

集合住宅の断熱化

文・山川文子

次世代住宅ポイント制度の交換商品が届く

先日、わたしが住む集合住宅の管理組合から、防災品セットや米、梅干し、ハムなどが配られました。管理組合が、窓を複層ガラスに、玄関を断熱ドアに交換する工事を一括して行い、次世代住宅ポイント制度*1の交換商品としてこれらを選んだのです。
数ある交換商品の中から、どの居住者にとっても「あったら役に立つ」「あっても困らない」商品を選んだのだろうと、その苦労が伺われました。

窓の複層化の状況

住宅の断熱性能の向上は冷暖房エネルギーの削減につながります。特に窓は、壁や床などと比べて断熱性能が低く、出入りする熱の量が多い部位です。
集合住宅の窓の複層化(複層ガラスや二重サッシ)の状況は、戸建住宅に比べると遅れています。「家庭部門のCO2排出実態統計調査」(平成31年度・速報値)によると、すべての窓または一部の窓が断熱化されている割合は、戸建住宅が51%であるのに対し、集合住宅はその半分の25%しかありません。

集合住宅の断熱工事

集合住宅では、窓や玄関は共用部であるため、居住者自身で工事ができません。冒頭のわたしが住む集合住宅のように管理組合が行う必要があります。工事仕様書の作成、業者の選定、理事会の総会での決議、工事の管理など、管理組合(理事)の負担は相当大きいでしょう。ボランティアやそれに近い立場で、かつ、数年で交代する体制で、このような大工事を実現するのは容易ではありません。
これは分譲住宅の場合ですが、賃貸住宅には別の背景があります。断熱工事を行い、費用を負担するのは賃貸住宅のオーナーです。しかし、工事による冷暖房費用の削減というメリットは居住者が享受します。そのため、オーナーが工事をしようというインセンティブが働きにくいのです。

住宅全体の44%*2を占める集合住宅の断熱化は、家庭部門の省エネを進める上で欠かすことができません。老朽化する集合住宅が今後増加する中、給排水配管などの劣化した設備の更新や外壁の補修工事などが優先的に行われがちですが、省エネかつ健康で快適な住まいにつながる断熱工事にも居住者や関係者の関心が高まり、多くの工事が行われることを期待します。

*1:2020年8月31日に申請受付終了
*2:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」

山川文子プロフィール

山川文子さんの写真

エナジーコンシャス 代表

執筆や講演を通じて、生活者視点での省エネ、環境に配慮した暮らしの情報を発信。
テレビ、新聞等のメディアでも広く活躍。

東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)顧問
一般財団法人省エネルギーセンター 上級技術専任職(国際業務担当)

[資格]
・消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣認定)
・家電製品総合アドバイザー(一般財団法人家電製品協会認定)

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