2020
12月

環境コラム「ご存じですか?」

温室効果ガス 新たな目標

文・山川文子

温室効果ガス「排出実質ゼロ」を目指す

所信表明演説で宣言

菅総理大臣は2020年10月26日の所信表明演説において、日本が「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする『脱炭素社会』の実現を目指す」ことを宣言しました。
「全体としてゼロ」というのは、温室効果ガスの排出量と森林などによる吸収量を均衡させることです。
政府は、2019年6月、パリ協定に基づく日本の長期戦略として「最終到達点としての『脱炭素社会』を掲げ、今世紀後半のできるだけ早期に実現することを目指すとともに、2050年までに80%の削減に取り組む」としていました。今回の宣言は、従来の目標をさらに引き上げたものです。

他国と同レベルの目標に

他国はどのような目標を掲げているでしょうか?
世界最大の排出国である中国は、2020年9月に「2060年までに排出実質ゼロを目指す」ことを表明、第2位の排出国である米国は、次期大統領の当選がほぼ確実となっているバイデン候補が、「2050年までに排出実質ゼロ」を公約に掲げています。また、2020年11月4日に離脱が確定したパリ協定に、大統領就任当日に復帰することを表明しています。
EUは、2050年までの排出実質ゼロを目標に掲げ、具体的な政策を展開しています。2020年10月に、EUの環境相会合において「欧州気候法案」が合意されました。これは、2050年の排出実質ゼロという目標に法的拘束力を持たせるものです。
既に121か国・1地域が、2050年までの排出実質ゼロに賛同する中、日本も今回の宣言により世界の動きに肩を並べたと言えます。

第6次エネルギー基本計画の議論始まる

資源エネルギー庁は、第6次エネルギー基本計画策定のための有識者による議論(総合資源エネルギー調査会基本政策分科会)を始めました。2050年の排出実質ゼロを実現するための課題を検証し、前回の第5次計画(2018年7月策定)における2030年のエネルギー需給の姿を見直します。
政府の審議会は、コロナ感染防止対策の一環として、従来あった傍聴席を設けず、オンラインでのライブ配信をするようになりました。終了後も視聴ができます。わたしたちがどのような社会を目指すのか、どのような議論が行われているかを知ることができる機会です。傍聴に行くほどではないが、オンラインであれば聞いてみようか、と思う人もいるのではないでしょうか。

2020年10月12日の第32回総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の様子
https://www.youtube.com/watch?v=bLnI3svfUR0&feature=youtu.be

山川文子プロフィール

山川文子さんの写真

エナジーコンシャス 代表

執筆や講演を通じて、生活者視点での省エネ、環境に配慮した暮らしの情報を発信。
テレビ、新聞等のメディアでも広く活躍。

東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)顧問
一般財団法人省エネルギーセンター 上級技術専任職(国際業務担当)

[資格]
・消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣認定)
・家電製品総合アドバイザー(一般財団法人家電製品協会認定)

ページ先頭へ